早大文系英語の傾向と分析

早大文系英語の傾向と分析

政治経済学部

  • 問題形式:長文読解3,会話文1,自由英作文1の計5題
  • 配点:90/230
  • 試験時間:90分
  • 合格者最低点:
    2018年167.0点(72.6%),2019年 162.5点 (70.7%),2020年170.5点(74.1%)
  • 英語平均点:
    2018年57.812点(64.2%),2019年53.391点 (59.3%),2020年61.513点(68.3%)
2018
Ⅰ 長文・910語(文整序分除く)
「AIの発達がもたらしうる社会的問題」
Ⅱ 長文・1110語(文整序分除く)
「大衆文化が導いた冷戦の勝利」
Ⅲ 長文・930語(文整序分除く)
「ネット使用一時休止のすすめ」
Ⅳ 会話文
「友人同士の会話」
V 自由英作文
「官公庁および大企業において要職につく女性の最低限の割合を設定する法律を制定することの是非」
2019
Ⅰ 長文・980語(文整序分除く)
「『料理外交』について」
Ⅱ 長文・1000語(文整序分除く)
「情報の非対称性と市場」
Ⅲ 長文・1030語(文整序分除く)
「神経画像データの問題点」
Ⅳ 会話文
「艦長と灯台守の無線での会話」
V 自由英作文
「大学生に最低1学期間の留学を必修にすることの是非」
2020
Ⅰ 長文・810語(文整序分除く)
「不公平感と社会の分断の関係」
Ⅱ 長文・1010語(文整序分除く) 「e-waste について」
Ⅲ 長文・890語(文整序分除く)
「戦場特派員 Marie Colvin の演説 より」
Ⅳ 会話文
「友人同士の会話」
V 自由英作文
「十代の若者にとってスマートフォンは有害であるか否か」

※ 後述するように,2021年より政経学部は入試問題を大きく変更する。したがって,上記のデータはあくまで資料的なものにとどまり,来年の入試には全く役立たない。ただ,自由英作文だけは引き続き同形式で出題されるため,充分参考になり,過去問学習も意味のあるものとなるだろう。 
2021年度入試より,政経学部の入学試験が大幅に変更される。詳細は早稲田大学HPを参照のこと。

試験の概要

下記1)2)の合計200点で選抜が行われる。要するに,従来3教科だったものが以下の2つの試験に変わるということ。

1)大学入学共通テスト(100点)
外国語・国語・数学・選択科目(1科目)の4科目を25点ずつに換算。英語はReading100点・ListeningComprehension100点の合計200点を25点に換算。「選択科目」だが,指定科目の範囲内で2科目以上受験している場合は,最高得点の科目の成績を大学側で自動的に抽出し,合否判定に利用する。

2)学部独自試験(100点)
学部独自試験は,日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とし,記述解答を含むものとする。また,従来の一般入試における「英語」や「国語」の試験とは異なるため,科目名称は「総合問題」とし,試験時間は120分間。

学部独自試験について

2020年3月31日にサンプル問題が公開された。問題には「この問題は,2021年度以降の一般入試試験をイメージするために作成されたサンプルであり,実際に出題される問題とは異なります」という文言が追記されている。同一の問題が出題されないのは当たり前だが,問題形式がサンプルと180度異なることは考えられない。したがって,設問のあり方などは実際の入試でも踏襲されることになるだろう。以下はサンプル問題の分析である。

Ⅰ 日本語読解問題(配点40。空所部分を除き約6650字)
「原発事故の補償はどのように行われるべきか―J.ロールズの『正義論』およびR.ドォーキンの「運の平等主義」の観点から」
客観→空所補充4・文整序1・趣旨説明1
記述→空所補充1(50字以内の日本語)

Ⅱ 英語長文問題(配点45。空所部分を除き約940語)
「日本における英語学習者の増減とその分布状況」
客観→空所補充6・グラフ選択1
記述→グラフ作成1・日本語による記述1(300字以内)

Ⅲ 自由英作文(配点15)
「人工知能はいずれ人間の知能を超えるか否か」
同意・不同意の立場から,理由を2つ以上挙げて書く。解答用紙がないため語数の見当がつかないが,問題指示が従来と同一であることから,おそらく15cm × 15行(約100語)であろう。

・ⅠはA4サイズ4枚 + 7行で,かなり長めであるものの,抽象論ではなく現実問題を具体例として展開する評論なので,内容的にはわかりやすい。受験生の論理的思考を試す問題と言える。
・Ⅱは語数的には大したことはないが,図表の読み取りを主とした問題文なので,正確な読解力・情報処理能力が求められる。本文の記述に基づいて実際にグラフを書かせる設問が斬新。また,英語の指示に従って300字以内の日本語で作文させるという設問があり,日本語による表現力も重視されている。
・Ⅲは従来と同形式の自由英作文なので,今までと同じ対策を立てればよい。
・政経学部はさらに募集人員も2021年から大幅に減らし,政治学科は150名→100名,経済学科は200名→140名,国際政治経済学科は100名→60名となる。合計300名ということだが,従来はセンター試験利用タイプの75名を加えると525名だったので,225名減少となる。今まで以上に競争が激しくなることは必至であろう。

法学部

  • 問題形式:Reading (3題) Grammar (3題) Writing (2題) の計8題
  • 配点:60/150
  • 試験時間:90分
  • 合格者最低点:
    2018年91.745点(61.2%),2019年92.745点 (61.8%),2020年90.295点(60.2%)
  • 英語平均点:
    2018年33.338点(55.6%),2019年30.474点 (50.8%),2020年27.736点(46.2%)
2018
Ⅰ 長文・1090語
「有機農法の功罪」
Ⅱ 長文・1400語
「小説『エマの秘密に恋したら…』より抜粋」
Ⅲ 文法語法正誤
Ⅳ 語法(空所補充)
V 語法(空所補充)
Ⅵ 自由英作文
(グラフが示す内容)
Ⅶ 自由英作文
「紙の本がいいか,電子書籍がいいか」
2019
Ⅰ 長文・1090語
「平均値重視の是非一米軍機操縦席の改良を中心に」
Ⅱ 長文・1230語
「囚人と読書」
Ⅲ 文法語法正誤
Ⅳ 語法(空所補充)
V 語法(空所補充)
Ⅵ 整序英作文
(選択肢の順序や語形は適宜変える)
Ⅶ 自由英作文
「与えられたイラストを見て,それが意味する所を書く」
2020
Ⅰ 長文・960語
「人種という社会的アイデンティティが持つ影響力」
Ⅱ 長文・960語
「19世紀イギリスにおける鉄道敷設 がもたらした産業振興と環境破壊」
Ⅲ 表の読み取り(空所補充)
Ⅳ 語法(空所補充)
V 語法(空所補充)
Ⅵ 文法語法正誤
Ⅶ 整序英作文
(選択肢の順序は適宜変える)
Ⅷ 自由英作文
「与えられたイラストを見て,それが意味する所を書く」

★1 問題の特徴 

(1)Reading Section について
長文は2題(2020年は「表の読み取り」という空所補充形式の問題が追加されて3題となっているが,これは変則なので,ここでは2題として紹介する)。設問形式は「段落内容一致文選択」「内容不一致文選択」「論旨文選択」「語義選択」「空所補充」「発音」などで,「タイトル選択」が加わることもある。これらの中で最初の3つをどの程度正答できるかが勝負のカギを握る。

問題Ⅰ
single columnが通常 (2013年は double columnで印刷)。英・米・仏など欧米諸国の政治・経済・文化・ 歴史について取り上げた文が多く,特に「法学」とは関係ない。読みやすい英語なので,内容把握は比較的楽である。

問題Ⅱ
・印刷形態は single columnが通常だが,物語文のときは double columnになることが多い。
・物語文の出題が多いが,2020年は論説文だった。かなり長く(2020年はⅢが追加されたためか,やや短めでⅠと同じ語数になっている),本文の内容全体を細かく問う設問が出される。設問で問われている内容が全体にちらばっているため,その選択肢が本文のどこに書かれていたかを探し出すだけで一苦労だろう。

(2) Grammar Section について
このGrammar Sectionに関しては,かつてはめまぐるしく変化して形式が一定しなかったが,このところは3題となっている。1つは下線部に文法的誤りを含むものを1つ選ぶ(誤りがないものもある)という形式,1つは与えられた短文中に適切な前置詞を補充する形式,そしてもう1つは空所に文法上または語法上または内容上(問題指示文には「文法上」と書かれてはいるが)適切なもの(または不適切なもの)を1つ選ぶという形式である。

(3) Writing Sectionについて
<整序作文>
・2020年は与えられた短文の2カ所を整序作文するという,2019年と同形式の問題だった。今後はおそらく自由英作文は1題のみとなるだろう。

<自由英作文>
・2020年は与えられたイラストを見て,それが何を意味しているのかを書く(個人的な感想や意見を書くわけではない)という2019年同様の問題。

★2 学習ポイント 

・英語の勉強というと,とかく長文読解の方に目が行きやすい。ましてや法学部の長文は大変な長さなのでなおさらである。しかし,作文は受験生が弱い部分であるから,得点率は低いだろう。だからこそ,作文の出来は合否に直結するのである。特に自由英作文は一朝一夕には行かず,日頃の鍛錬が物を言うのだから,これらの重要性を意識し,授業だけでカバーできない場合は,課外での勉強法を考える必要があろう。
・その「課外での勉強法」だが,自由英作文の基本は「和文英訳」なので,とりあえず和文英訳に全力を尽くし,徐々に自由英作文の練習を積んでいけばよい。ただし,独学には限界がある(というよりも,不可能であろう)から,自由英作文の授業(講習など)を積極的に利用することが望ましい。
・問題Ⅰ・Ⅱを時間内にどう攻略するかが課題。むろん,長文を理解するには,文法や構文,語彙の力が必要だが,英文を読みながら文法や構文ばかりを気にしたり,また知らない語句の出現により話の流れを見失っているようでは,時間内には終わらずかつ内容もつかめないという二重苦になる。細かい部分にとらわれず,長文の言わんとしている所を大まかにとらえる訓練を積み重ねることが重要であろう。

商学部

  • 問題形式:長文読解4,会話文1の計5題
  • 配 点:80/200
  • 試験時間:90分
  • 合格者最低点:
    2018年130.55点(65.3%),2019年129.25点 (64.6%),2020年 127.45点 (63.7%)
  • 英語平均点:
    2018年36.775点 (46.0%),2019年39.559点 (49.4%),2020年44.227点 (55.3%)
2018
Ⅰ 会話文・330語
「アパートの管理人と住民の会話」
Ⅱ 長文・650語
「フランス語の学習」
Ⅲ 長文・570語
「ダージリンティーの危機」
Ⅳ 長文・490語
「都市照明の新しい役割」
V 長文・520語
「顧客の感情を検知する技術」
2019
Ⅰ 会話文・290語
「友人同士の会話」
Ⅱ 長文・590語
「通勤中の業務メール処理を仕事と見なすべきか」
Ⅲ 長文・630語
「アグロエコロジーについて」
Ⅳ 長文・690語
「Study Tuber について」
V 長文・700語
「AIの現状と今後の課題」
2020
Ⅰ 会話文・400語
「大学の寮でルームメイトとなる学生同士の会話」
Ⅱ 長文・600語
「社会的健康の重要性」
Ⅲ 長文・620語
「FOMOとJOMO」
Ⅳ 長文・550語
「身体を動かさないことと死亡率の 関係」
V 長文・780語
「イギリスの大学の学生獲得競争」

★1 問題の特徴

・全問読解問題で,設問はマーク式と記述式の併用。長文4題の合計が2000語前後というのが例年の傾向だが,2020年は約2500語とかなり長かった。
・テーマ的には,「商学部らしさ」を求めてか,新聞・雑誌から抜粋されたビジネス関連の英文が多い。その他としては,エッセイ・小説,および文化に関するものが出題される。
・会話文はある施設内での会話という設定で,語数は300 ~ 500語とかなり幅があり,設問としては空所に適切なセリフを入れる形式が必ず盛り込まれるのが例年。
・設問は内容一致に関するものがポピュラーで,一致文選択かTF形式 (真か偽か)で出題されている。その他としては,下線部の意味を問うもの,タイトル選択,空所補充,発音・アクセントなどさまざまである。
・記述に関しては,英和訳・和英訳・日本語による説明問題など(2020年は英和訳と説明問題の出題がなく,和英訳は1問,整序作文が2問)。どれも短く,難しいものではないが,記述は学力が一番正直に表れるので軽視することはできない。

★2 学習ポイント

・長文は600 ~ 700語前後のものなので,さして長くない。しかし,設問としては決して解きやすいとは言えず,新聞や雑誌の記事を問題文にすることが多いため,用いられている語彙が極めて難解。平均点が50% を割り込むこともしばしばである。
・記述問題 (英文和訳・和文英訳など)が必ず出題されるが,いずれもやさしいものばかりなので,さほど神経質になる必要はない。通常の授業での訓練で十分で,特別な対策は不要であろう。
・商学部は2021年より試験方式を大きく変更する(詳細は大学のHPを参照のこと)。受験のタイプを①「地歴・公民型」②「数学型」③「英語4技能型」に分け(併願は不可能),募集人員も従来は一般入試455名・センター利用80名だったものを,①355名 ②150名 ③30名とする。合計で考えると結局従来と同数だが,この変更が合格の難易度にどのように影響を及ぼすかは未知数。

文・文化構想学部

  • 問題形式:長文読解3 (実質的には長文6),会話文1,英語要約1の計5題
  • 配点:75/200
  • 試験時間:90分
  • 合格者最低点:
    <文> 2018年135.1点(67.6%),2019年134.0点 (67.0%),2020年132.2点 (66.1%)
    <文化構想> 2018年136.5点 (68.3%),2019年134.0点 (67.0%),2020年131.5点 (65.8%)
  • 英語平均点:
    <文> 2018年36.982点(49.3%),2019年45.840点(61.1%),2020年43.440点(57.9%)
    <文化構想> 2018年41.015点 (54.7%),2019年35.292点 (47.1%),2020年33.489点 (44.7%)

<文学部> 

2018
Ⅰ 長文2題
(A)「真実の探求をめぐる科学者と教会の対立」(280語)
(B)「スポーツとアマチュア精神」(310語)
Ⅱ 長文3題
(A)「マスメディアの発展と科学技術」(180語)
(B)「世界主義と教育」(260語)
(C)「言い間違いについて」(590語)
Ⅲ 長文
「フェルメールの絵と贋作者メーへレン」(800語・選択肢含む)
Ⅳ 会話文
「生徒同士の会話」(190語)
V 英語要約
「植民地時代のインドにおける英文学教育の導入」(320語)
2019
Ⅰ 長文2題
(A)「詩の英訳が文学に与えた影響」(280語)
(B)「脳と知性」(280語)
Ⅱ 長文3題
(A)「英語の綴りと外来語」(200語)
(B)「カントが考えた世界政府」(280語)
(C)「Mario Capecchi について」(550語)
Ⅲ 長文
「コロンブスのアメリカ発見が新旧世界に与えた影響」(950語・選択肢含む)
Ⅳ 会話文
「生徒同士の会話」(110語)
V 英語要約
「アイデンティティと社会的評価」(220語)
2020
Ⅰ 長文2題
(A)「デッサンという芸術」(260語)
(B)「上海のある街角の描写」(240語)
Ⅱ 長文3題
(A) 「江戸時代の庶民文化」(230語)
(B)「植民地時代のインドと英語」(330語)
(C)「中世のペストと現代の病気における感染速度と人の動き」(550語)
Ⅲ 長文
「南アフリカにおけるアメリカの印象」(710語・選択肢含む)
Ⅳ 会話文
「友人同士の会話」(160語)
V 英語要約
「忘れること」(250語)

<文化構想学部> 

2018
Ⅰ 長文2題
(A)「マイアミに育つ食用植物」(290語)
(B)「大英帝国のインド支配と科学的調査」(300語)
Ⅱ 長文3題
(A)「記憶はなぜ不安定か」(210語)
(B)「顔の表情の中で嘘をつかない部分」(330語)
(C)「文明を支える搾取」(520語)
Ⅲ 長文
「William Perkin による染料の発明」(800語・選択肢含む)
Ⅳ 会話文
「友人同士の会話」(110語)
V 英語要約
「教育の役割」(250語)
2019
Ⅰ 長文2題
(A)「精神疾患の原因とその治療」(280語)
(B)「『自由』とは何か」(320語)
Ⅱ 長文3題
(A)「人格に与える影響」(200語)
(B)「欧米を魅了した日本」(250語)
(C)「ハリケーンとメキシコ湾岸地域」(570語)
Ⅲ 長文
「Muzakの効果」
(680語・選択肢含む)
Ⅳ 会話文
「友人同士の会話」(170語)
V 英語要約
「時計の発明と人々の生活」(290語)
2020
Ⅰ 長文2題
(A)「英語教育は日本に適している
か」(290語)
(B)「YES / NO の回答が適さない質問」(270語)
Ⅱ 長文3題
(A)「“Brexit” という語と辞書」(160語)
(B)「降霊術について(250語)
(C)「宇宙における生物学的なものと物理学的なもの」(520語)
Ⅲ 長文
「古代中国における小麦と麺」 (740語・選択肢含む)
Ⅳ 会話文
「引っ越し作業をする男女の会話」 (190語)
V 英語要約
「イギリスにおけるスポーツの役割 の変遷」(230語)

★1 問題の特徴

・この2学部の入試問題については,学部の改編・新設の際そのコンセプトが事前に早稲田大学のHPに掲載された。その要点をまとめると以下の通りである。
① 高校での学習内容の理解度を評価する問題であって,両学部で異なる能力を評定しようという意図はなく,また難易度に差はない
② 文学部では人文学分野を中心とした学術英語,文化構想学部では文化研究を中心とした学術英語を出題する
③ 構文読解力・語彙力・速読による要点把握(スキミング)と特定の情報把握(スキャニング)・長文における文脈理解など,多量の英語情報を的確に理解するための能力を問う
④ 英語要約文作成を通じて理解した内容を正確に英語で表現する力を測る
⑤ 日常的な場面での英語運用の理解力を問う

・ ①は,両学部の問題形式が同一であることに反映されている。②は長文が扱うテーマに,③は問題ⅠⅡⅢに,④は問題Ⅴに,⑤は問題Ⅳと対応している。さらに詳しく見ると,③の「構文読解力・語彙力」は問題 Ⅰ ,「速読による要点把握(スキミング)と特定の情報把握(スキャニング)」は問題Ⅱ,「長文における文脈理解」は問題Ⅲ ということであろう。

★2 学習ポイント

・ 長文Ⅰ〜Ⅲの合計語数は例年2300~2400語前後。大問としては3題でも,細かく見れば長文が6つあり,時間配分が重要になってくる(試験時間90分のうち,Ⅳに10分弱・Ⅴに15分かけるとすると,Ⅰ~Ⅲは65分で解かなければならない)。特にⅢの文補充をどのくらい迅速に処理できるかがカギとなるだろう。20~30語の選択肢が8つ用意されているだけでもかなり目移りしてしまうのに,文脈をしっかり把握しないと答えが見つけ出せないため,どうしても時間がかかるからだ。
・ 先述したコンセプト①では「両学部で異なる能力を評定しようという意図はなく,また難易度に差はない」と書かれているものの,差がなかったことはほとんどない(英語平均点を見れば明らかである)。
・ 日常の学習としては,300~600語レベルの英文を用い,intensiveな訓練を行うことが有効な作業である。
・ 問題Ⅴは,本文の要約を英語で書くという設定だが,書き出しが与えられており,さらにその続きを4~10語で書けという形式。特別な対策は不要だろう。
・ 4技能テスト利用方式の導入により,一般試験枠としては文学部は50名,文化構想は70名定員が減らされた。要するに「絞り込み」という状況で,注意が必要。

教育学部

  • 問題形式:長文読解4,会話文1の計5題
  • 配点:50/150
  • 試験時間:90分
  • 合格者最低点 [学科によって異なる]:
    2018年58.8~65.7%,2019年55.0~67.0%,2020年56.2~65.5%
  • 英語平均点:非公表
2018
Ⅰ 長文・450語(空所部分除く)
「情報化時代における論理的批判的 思考の重要性」
Ⅱ 長文・670語(空所部分除く)
「科学における多言語使用の必要性」
Ⅲ 長文・730語(空所部分除く)
「鶏肉は野生動物の絶滅を救えるか」
Ⅳ 長文・570語
「『知識の幻想』という書籍に対する論評」
V 会話文・560語(空所部分除く)
「ある科学者に対するラジオインタビュー」
2019
Ⅰ 整序英作文
Ⅱ 長文・710語
「英国王室と有色人種」
Ⅲ 長文・790語
「あらゆる人々に開かれた建築業界を目指して」
Ⅳ 長文・700語
「孤独が人間と動物に与える影響のメカニズム」
V 会話文・480語(空所部分除く)
「不動産購入をめぐる夫婦の会話」
2020
Ⅰ 長文・340語
「『マシュマロテスト』と学業成績の相関関係」
Ⅱ 長文・370語
「大学学生寮の昔と今」
Ⅲ 長文・410語
「カリフォルニア州の大学予算削減とその影響」
Ⅳ 長文・460語
「人間以外の動物の意思伝達」
V 会話文・190語(空所部分除く)
「SNSをめぐる友人同士の会話」

★1 問題の特徴

・ 長文問題4・会話文1というのが長年定着してきた形式。2019年は整序英作文が1つの大問として設けられたが,2020年は予想通り元に戻った。
・ この学部の長文の総語数は大体2000~2200語くらいだが,2020年は約1580語と大幅に減少した。ただ,2019年の整序英作文もそうだが,これは例外的な現象と考えるべきだろう。
・ 長文の内容は論説調のものがほとんどで,エッセイや小説の出題はまれである。また,教育学部には文系・理系両方の学科が存在するため,芸術・文化のような文系ジャンルと,自然科学のような理系ジャンルが混在する。
・ 問題レベルだが,かつては短くて読みやすいものの,設問にひねりが加えられたものが多く,変に解きにくかったが,ここ数年は非常に素直で解きやすい。毎年4題中1題は内容的にも語彙的にも難解なものが混じるが,設問自体はさほど難解ではないので,あまり脅威に感じる必要はない。

★2 学習ポイント

・ 確かに細部には理解しづらいところが多々あるが,全体的に見れば基礎的な設問が占める割合の方がはるかに高いのだから,あまり気にしないことである。合格者最低点は学科によってかなりばらつきがあるため,詳細は各自で調べてもらいたいが,英語英文学科と複合文化学科(英語以外の外国語なら関係ないが)は英語の得点が標準化後1.5倍されるため,是非とも英語では高得点を収めたい。これら以外の学科ならば,7割の得点を目指せば十分合格圏に入ることができる。
・ 1つ1つの長文の語数が増えたことで,解くのにかけられる時間も変化した。700語台の長文だと,やはり1題20分で終えたい。会話文と整序英作文はそれぞれ10分ずつにして,合計80分。残り10分は見直し,というプランで臨もう。
・ 語彙力は充実させたい。単語レベルの設問が多い教育学部では重要なことだろう。
・ 2019年は全専攻で定員が減少し,合格者数にも大幅な絞り込みがあったが,2020年は理学科生物学専修以外では目立った合格者数の絞り込みはない(むしろ合格者数が増えた所の方が多い)。

国際教養学部

  • 問題形式:
    Reading(2題)Grammar / Expression(会話文)Writing(日本語要約1・自由英作文1)の計5題
  • 配点:100/200 
  • 試験時間:90分 
  • 合格者最低点:
    2018年113.2点(56.6%),2019年126.4点(63.2%),2020年131.1点(65.6%)
  • 英語平均点:
    2018年47.442点(47.4%),2019年51.965点(52.0%),2020年61.371点(61.4%)
2018
Ⅰ 長文・1030語
「本の形態変化の歴史」
Ⅱ 長文・1340語
「小説“Sleeping Beauty” より」
Ⅲ 会話文空所補充
Ⅳ 日本語要約
「日本の国籍法とその実態」
V 自由英作文
「TVゲームをオリンピック種目にすることの是非」
2019
Ⅰ 長文・1250語
「ゲリマンダリング (合衆国における選挙区の恣意的改変) について」
Ⅱ 長文・870語
「ある灯台守の娘の生涯」
Ⅲ 会話文空所補充
Ⅳ 日本語要約
「第二次大戦中の日系アメリカ人強制収容に対する補償」
V 自由英作文
「真の人間性を示すものは能力か選択か」 (小説 Harry Potter 中の 「義務化することへの是非」 Dumbledore のセリフより)
2020
Ⅰ 長文・1260語
「19世紀における西洋諸国のアフリカ分割」
Ⅱ 長文・950語
「人見絹枝について」
Ⅲ 会話文空所補充
Ⅳ 日本語要約
「反ワクチン運動に対する反論」
V 自由英作文
「自転車に乗る際ヘルメット着用を義務化することへの是非」

※ 英語平均点の内訳は,「英語」 52.166点「英語4技能試験」 9.205点。「英語」は満点85なので61.4%,「英語4技能試験」は満点15なので61.4%ということになる。
※ 2021年より国際教養学部は入試問題を大きく変更する。したがって,上記のデータはあくまで資料的なものにとどまる。ただ,後述するように問題形式にほぼ変化がない(会話文空所補充のみ姿を消す)ため,上記を充分参考にし,過去問学習をすることをすすめる。
2021年度入試より,国際教養学部の入学試験が大幅に変更される。詳細は早稲田大学HP を参照のこと。

<試験の概要>

下記1)~ 3)の合計200点で選抜が行われる。要するに,従来3教科だったものが以下の3つの試験に変わるということ。
1) 大学入学共通テスト (100点)
国語・選択科目(1科目)の2科目を50点ずつに換算。
2) 学部独自試験 (英語・80点)
Reading・Writing の2つに分かれ,合計で80点。
3) 英語外部検定試験(英語・20点)
最大20点を加点する。
20点 → CEFR・C1以上,または英検・1級合格,またはTOEFL®iBT・95以上,またはIELTS・7.0以上
14点 → CEFR・B2,または英検・準1級合格,またはTOEFL®iBT・72~94,またはIELTS・5.5~6.5
7点 → CEFR・B1,または英検・2級合格,または TOEFL®iBT・42~71,またはIELTS・40~5.0
0点 → 上記以下あるいは未提出

<学部独自試験について>

2019年12月26日にサンプル問題が公開された。問題には「この問題は,2021年度以降の一般入試試験をイメージするために作成されたサンプルであり,実際に出題される問題とは異なります」という文言が追記されている。同一の問題が出題されないのは当たり前だが,問題形式がサンプルと180度異なることは考えられない。しかし,公開された問題はほとんどが過去問であるため,設問形式など細部は参考にならない。また,各大問の配点も公表されていない。

READING(90分)
Ⅰ 長文読解問題(2016年国際教養学部のⅡ)
Ⅱ 長文読解問題(2006年国際教養学部のⅠ)
Ⅲ 長文読解問題(2016年国際教養学部のⅠ)
詳細は表記した過去問を参照のこと。いずれも1000語を超える長いもので,設問形式は法学部の問題を参考にしてほしい。試験時間が90分なので,見直し込みで1題30分で終わらせる必要がある。

WRITING(60分)
Ⅰ 日本語要約問題(350語程度の英文)
Ⅱ 英語要約問題(表の読み取り)
Ⅲ 自由英作文(2004年国際教養学部のⅤ)
READINGとは違い,問題形式は確定だろう。解答用紙が与えられていないため,それぞれどのくらい書けばよいのかは不明だが,ⅠとⅢは今まで出題されていたものだから,おそらくⅠは80~100字・Ⅲは80語前後だろう。Ⅱも内容から考えるとやはり80語前後ではないか。試験時間が60分なので,見直し込みで1題20分ということ。英作文が1題増える分負担は大きくなるが,READINGに比べれば余裕を持って問題を解くことができる。

・ こうして見ると,結局問題数が増えただけで設問形式に目新しさはないため,受験対策としては従来と同じやり方で大丈夫である。ただ,大問数合計6,試験時間150分と長丁場なので,途中で息切れすることなく,集中力を持って,全問題を一気にやりきる力が重要となる。
・ 募集人員も2021年から若干減らす。一般選抜は150名→175名と増えるが,センター利用50名が廃止となるため,合計で25名減。したがって,募集人員に関してはあまり構えて考える必要はない。

社会科学部

  • 問題形式:文法語法1,長文読解4の計5題
  • 配点:50/130
  • 試験時間:90分
  • 合格者最低点:
    2018年82.95点(63.8%),2019年85.50点(65.8%),2020年91.36点(70.3%)
  • 英語平均点:
    2018年21.784点 (43.6%),2019年20.853点(41.7%),2020年22.191点 (44.4%)
2018
Ⅰ 文法語法正誤
Ⅱ 長文・400語
「EUにおける英語の重要性」
Ⅲ 長文・780語
「米国の職場におけるいじめ」
Ⅳ 長文・990語
「少子高齢化の日本がとるべき対策」
V 長文・980語
「米国民主主義における専門家と一般市民の関係」
2019
Ⅰ 文法語法正誤
Ⅱ 長文・1020語
「大学における言論の自由」
Ⅲ 長文・1120語
「困難になりつつある世帯調査」
Ⅳ 長文・800語
「中国の屋内空気汚染」
V 長文・990語
「AIのあるべき姿」
2020
Ⅰ 文法語法正誤
Ⅱ 長文・1110語
「ビッグデータ時代に必要な情報管理のあり方」
Ⅲ 長文・1000語
「マチュピチュ近郊の空港建設」
Ⅳ 長文・1140語
「アメリカの人権政策」
V 長文・1080語
「混血に生まれて」

★1 問題の特徴

・ 全問マーク式。
・ 第Ⅰ問の文法正誤は10問で,誤っている下線部を1つ選択。誤りがない場合もある。
・ 第Ⅱ問は長年長文「空所補充」だったが,2019年より長文「総合問題」となった。
・ 長文の語数は増加の一途をたどり,ついに4000語を超えることとなった。2019年の3900語強だけでも脅威だったが,社会科学部の長文は天井知らずの様相を呈している。テーマ的にはやはり社会科学系のものが多いが,1題はタイムリーな時事問題を扱うものとなっている。
・ 長文の設問形式だが,空所補充・下線部の意味を問うもの・内容一致文選択・要旨文選択の4つがメインで,それに本文から推論される内容を問う設問が加わることがある。
(1)「空所補充」「下線部の意味を問うもの」はすべて語彙レベルではあるが,下線部が施された部分も与えられた選択肢も受験生が知らなくて当然というものがほとんどで,極めて難しい。
(2)「内容一致文選択」だが,2020年は大問によってばらつきがある。
(3)「要旨文選択」「推論される内容」は本文の内容が大まかにでも取れていれば解答できる。

★2 学習ポイント

・ 問題の難化がすさまじい。英語平均点は2014年以来50%を割り込んでいる。2016年が38.9%だったのはさすがに異常事態で,この点では是正されたが,50%を回復することは当分ないだろう。つまり,英語はかなり手強い状況が続くと思われる。さりとて,合格者最低点が低いわけではないのだから,高得点が求められていることには違いない。この状況をどう打開するかが課題だろう。
・ 英語の難化が著しいわりに合格者平均点がやや高めなのは,他教科(数学を除く)の平均点が50~53%と比較的高い(つまり英語に比べて「やさしい」)ことが原因。ちなみに合格者数の絞り込みは一段落している(2019年までは毎年100名ずつ減少)。
・ 文法正誤は「誤りがない場合もある」という設定になっていると,途端に正答率が下がるものである。実際この学部の問題は大変基本的なものなので,落ち着いて中学レベルの誤りを探すこと。
・ 1000語レベルの長文問題が出題されたとなると,試験時間の効率的な使い方が重要になってくる。500語台がメインだった時期と同じように構えていてはいけない。ただ,語彙的に難しいものばかりなので,あまり飛ばし読みをしていると本文の内容がつかめなくなる。したがって,いかに「速く」読むかというよりも,いかに「正確に」読むかを意識すること。社会科学部の長文は決して読みやすい英文ではないが,要点をきちんととらえておけば設問は解ける。部分的に理解不能な箇所があってもあわてないで,全体の要旨を理解することに集中しよう。