慶大文系英語の傾向と分析

慶大文系英語の傾向と分析

文学部

  • 問題形式:長文1題
  • 配点:150/350
  • 試験時間:120分
  • 合格者最低点:2018年228点(65.1%),2019年233点(66.6%),2020年250点(71.4%)
  • 英語平均点:2018年80.11点(53.4%),2019年88.46点(59.0%),2020年99.38点(66.3%)
2018
長文・1920語
「若者の成長を描く物語における,自己発見と社会への融合との関係性」

Ⅰ 英文和訳(記述)
Ⅱ 主語を選ぶ (客観)
Ⅲ 日本語による説明(40字以内)
Ⅳ 英文和訳(記述)
V 空所補充 (客観)
Ⅵ 日本語による説明 (100~120字)
Ⅶ 英文和訳(記述)
Ⅷ 和文英訳 (記述)
2019
長文・1860語
「ペット等に関する擬人化」

Ⅰ 空所補充(客観)
Ⅱ 英文和訳(記述)
Ⅲ 日本語による説明(35字以内)
Ⅳ 日本語による説明(40字以内)
V 英文和訳(記述)
Ⅵ 指示語(客観)
Ⅶ A 具体例選択(客観)
Ⅶ B 日本語による説明(100~120字)
Ⅷ 和文英訳(記述)
2020
長文・1870語
「空想の友人」

Ⅰ 空所補充 (客観)
Ⅱ 英文和訳(記述)
Ⅲ 英文和訳(記述)
Ⅳ 日本語による説明(30字以内)
V 空所補充 (客観)
Ⅵ 英文和訳(記述)
Ⅶ 同意文選択(客観)
Ⅷ 日本語による説明(100~120字)
Ⅸ 和文英訳(記述)

★1 問題の特徴 

・2011~2013年は長文2題・和文英訳1題という構成だったが,2014年より長文1題形式に戻っている。
・長文の内容は文学色の濃いものが多く,論説文が出題されることもある。長さは2000語前後で,かつて「超長文」と呼ばれていた時代を思い出させる。
・設問形式だが,英文和訳3・和文英訳1・日本語による説明2は固定で,その他は年度によってさまざまな設問がつけられる。
・語彙的にはやや難しいが,「英語辞書を2冊まで使用可(電子辞書不可)」という特異な体制を採用しているため,この難しさを考慮する必要はない。まして120分という十分すぎるほどの試験時間が与えられているので,焦って辞書を引く必要もない。したがって,英文和訳は構文さえ正しく把握すれば簡単にこなせることになり,ここで差がつくことは考えられない。
・和文英訳だが,長文のどこかに構文および内容上ヒントとなる部分が存在するため,レベル的には大したものではない。
・ここ2年は問題の易化が著しい(英語平均点を見れば明らか)。しかし,早慶で問題がやさしくなるのは学生にとって不利に働く。そもそも受験生のレベルが高いのだから,合格者最低点が上がってしまい(2020年は70%を超えている),却って受かりにくくなるだけである。

★2 学習ポイント

・10前後の設問数で,配点が150というのはある意味脅威的。1問1問の配点が恐ろしく高いということになるため(実際の採点法は不明だが),ほんのちょっとした取りこぼしが大きな減点につながっている可能性がある。はっきり言って,文学部の問題は辞書が使用できるので気分的には全学部中一番楽である。しかし,だからこそ確実に設問を仕留めることが最重要課題で,油断してはならない。
・辞書が使えるため,英文和訳では勝負がつかない。和文英訳もさほど物を言わないだろう。したがって,説明問題,特に100~120字の説明の攻略が「天下分け目」となる。慶應にしても,受験生に辞書を使わせるからには,辞書では解決できない部分の出来を見たいはずである。英文の内容をいかに正確にすみずみまで把握できるか,そのための鍛錬を日頃行うべきである。英語の学習は通り一遍でも,むしろ現代文の教材に掲載されている評論・論説などを題材に,内容理解力を養成することが慶大文学部の合格の一助となるかもしれない。

経済学部 

  • 問題形式:長文読解3,和文英訳1,自由英作文1
  • 配点:200/420
  • 試験時間:100分
  • 一次選考合格者最低点(満点A方式160・B方式90):
    [A方式] 2018年94点(58.8%),2019年110点(68.8%),2020年92点(57.5%)
    [B方式] 2018年49点(54.4%),2019年58点(64.4%),2020年54点(60.0%)
  • 最終選考合格者最低点(満点420):
    [A方式] 2018年207点(49.3%),2019年265点(63.1%),2020年234点(55.7%)
    [B方式] 2018年243点(57.9%),2019年259点(61.7%),2020年240点(57.1%)
  • 英語平均点:非公表

※Ⅳ・Vが二次選考 

2018
Ⅰ 長文・770語
「法定飲酒年齢引き下げへの賛成論」
Ⅱ 長文・770語
「法定飲酒年齢引き下げへの反対論」
Ⅲ 長文・830語
「死刑の是非」
Ⅳ 和文英訳
V 自由英作文(200語程度) (問題Ⅰ~Ⅲのいずれかをもとにし て質問に答える形式)
2019
Ⅰ 長文・810語
「観光業への反対論」
Ⅱ 長文・670語
「観光業への賛成論」
Ⅲ 長文・980語
「カジノの是非」
Ⅳ 和文英訳
V 自由英作文(200語程度) (問題Ⅰ~Ⅲのいずれかをもとにし て質問に答える形式)
2020
Ⅰ 長文・790語
「政府による芸術助成金への反対論」
Ⅱ 長文・800語
「政府による芸術助成金への賛成論」
Ⅲ 長文・950語
「政府による漁業補助金への反対論」
Ⅳ 和文英訳
V 自由英作文(200語程度) (問題Ⅰ~Ⅱのいずれかをもとにし て質問に答える形式)

★1 問題の特徴

・このところ長文は3題。ただし,2題の時もあれば(2014年),4題の時もあった(2013年)。
・長文はすべてマーク式。
・2段階に選考が行われることが大きな特徴で,2020年は問題Ⅰ~Ⅲで一定点に達していないとⅣ・Vは採点されない(つまり不合格)。A方式は英語90点・数学70点の合計160点,B方式は英語90点が一次選考分である。目標としては70%以上の正解を目指すべきである(B方式が英語のみなので,これを参考にすること)。
・内容的に対立する長文を集め,それに基づいて自由英作文で受験生の意見を述べさせる,という形式は2013年からスタートした。初年度(2013)こそ2つのテーマに関しそれぞれ賛成・反対の長文を用意することに成功したが,次年度(2014)では早くも挫折,このところは2つのテーマに長文3題というバランスの悪い出題となっている。
・長文の語数は合計で2400~2500語が標準。問題レベルだが,Ⅰ→Ⅱ→Ⅲの順に難しくなっていく。
・和文英訳はさほど大変なものではないが,これに50点前後の配点があると予測されるのが脅威。
・自由英作文だが,基本的には「データ処理能力」「論理的な文章構成力」を測るものが出題される。2020年は「芸術助成金」「漁業補助金」に関して是非を問う問題だが,早大のように語数が問題文で指定されていない。解答欄を見ると,何と25cm × 21行もあり,1行に12語書くとすると全体では250語近くになる。むろん解答欄すべてを埋める必要はないが,200語程度くらいはないと見栄えが悪いだろう。

★2 学習ポイント

・経済学部の英語をどう攻略するか,というよりも,一次選考の対策が最優先課題である。ここを落としてしまえば元も子もないからだ。
・英語は200点満点で,そのうち一次選考分が90点ということは,問題Ⅳ・Vで110点あるということ。したがって,単純計算すると1題55点分あることになる。B方式を例にとると,最終選考の合格者最低点は57.1%で,単純に当てはめると英語は約114点つまり作文2題で114-54<一次選考分>=60点(約54.5%)得点しないと不合格だということに注目しよう。
・自由英作文対策としては,英作文の訓練よりもまず「何を,どのように書くか」を日本語で固める練習,つまり「論理的な文章構成力」の訓練が重要であろう。また,問題には「注意事項」なるものがつけられ,そこで書き方について細かく指示がなされている。試験会場でどれほど余裕がなくても,その指示をきちんと読み,それに従って書くことを心がけよう。また,「書きたいこと」を書くのではなく,「英語で書けること」を書くということを念頭におくことが重要だ。
・自由英作文に関して具体的にどのような学習を行うかだが,基本は「和文英訳」なので,とりあえず和文英訳に全力を尽くし,徐々に自由英作文の練習を積んでいけばよい。ただし,独学には限界がある(というよりも,不可能であろう)から,自由英作文の授業(講習など)を積極的に利用することが望ましい。

法学部

  • 問題形式:発音1, 長文語義選択 1,会話文1,質疑応答完成 1, 長文読解1の計5題
  • 配点:200/400
  • 試験時間:80分
  • 合格者最低点:
    [政治] 2018年249点 (62.3%), 2019年224点 (56.0%), 2020年258点 (64.5%)
    [法律] 2018年246点 (61.5%), 2019年227点 (56.8%), 2020年252点 (63.0%)
  • 英語平均点:
    [政治] 2018年 116.34点(58.2%), 2019年93.23点(46.6%), 2020年 124.43点 (62.2%)
    [法律] 2018年 112.27 点 (56.1%), 2019年90.25 点(45.1%), 2020年 124.06点 (62.0%)
2018
Ⅰ 発音
Ⅱ 文法語法
Ⅲ 会話文・480語
「職場への不満と転職についての男女の会話」
Ⅳ 長文語義選択・370語
「日本の母子家庭が抱える問題」
V 長文・770語
「メディア報道における人種偏向」
2019
Ⅰ 会話文・450語
「履修登録についての友人同士の会話」
Ⅱ 長文語義選択・250語
「日本における司法取引の導入」
Ⅲ 長文誤文訂正・310語「日本は移民を受け入れるべき」
Ⅳ 長文・810語
「麻薬の合法化の是非」
2020
Ⅰ 発音 + スペリング + 語義
Ⅱ 長文語義選択・410語
「反フェミニズム主義者の論拠」
Ⅲ 会話文・470語
「友人同士の会話」
Ⅳ 質疑応答完成
V 長文・900語
「複製技術が及ぼした芸術作品のあり方への影響」

★1 問題の特徴

・設問数は通常60前後(2020年は49と少なめ)。全問マーク式で記述がないのは例年通り。
・会話文は空所補充のみで,長さは400~500語。空所には語句を入れる場合と文を入れる場合があるが,
2020年は前者となっている。
・長文語義選択問題は2012年より出題されているが,ここ最近は平易。
・名実共に「長文読解問題」と言えるものは1題のみ。論説文が通常。
・2014年以来途絶えていた「質疑応答完成」が6年ぶりに復活。元々この形式は法学部では名物の問題だった。

★2 学習ポイント

・法学部の問題は一見すると難解な問題が多いが,設問は極めて平易であるため,総じて解きやすい。2019年のようにいきなりの難化が見られる場合もあるが,これは例外と考えてよい。ここ3年ほどは新しい形式の問題が入れ替わり立ち替わり出されているが,いずれも奇問の類である。
・法学部の読解問題攻略のkeypointは「論理の把握」である。どのような形式の読解であろうと論の筋道を正確にたどり,筆者の主張を頭の中に構築していく力が求められる。最後に必ず長文が出題されるので,途中で息切れしないスタミナを蓄える訓練を重ねることが平素の学習で必要となろう。
・発音・文法問題(2020年はなかったが)に対しては,特別な対策を立てる必要はないと思う。
・英語が試験全体の半分のシェアを占めることも考慮に入れておくべき(別に他教科をなおざりにしてよいという意味ではないが…)。

商学部

  • 問題:長文読解3,文法語法1,短文空所補充1,短文解1,記述式空所補充2の計8題
  • 配点:200/400
  • 試験時間:90分
  • 合格者最低点:
    [A方式] 2018年265点(66.3%),2019年258点(64.5%),2020年244点(61.0%)
    [B方式] 2018年293点(73.3%),2019年288点(72.0%),2020年309点(77.3%)
  • 英語平均点(AB全体):
    2018年 124.95点(62.5%),2019年115.24点 (57.6%),2020年 124.55点(62.3%)

※2018〜2019はⅥ・Ⅶが二次選考。2020はⅦ・Ⅷが二次選考。 

2018
Ⅰ 長文・650語
「AⅠ時代における経済政策のあり方」
Ⅱ 長文・760語
「アメリカの職場における友人関係の変化」
Ⅲ 長文・850語
「循環型経済を目指して」
Ⅳ 短文空所補充
V 文法語法
Ⅵ 短文空所補充(名詞形)
Ⅶ 短文空所補充(活用变化)
2019
Ⅰ 長文・730語
「19世紀における工場と労働者」
Ⅱ 長文・880語
「再開発に伴う高級住宅化」
Ⅲ 長文・900語
「高名な学者は教師に適しているか」
Ⅳ 文法語法
V 短文空所補充
Ⅵ 短文空所補充(名詞形)
Ⅶ 短文空所補充(活用变化)
2020
Ⅰ 長文・810語
「Theodore Roosevelt について」
Ⅱ 長文・820語
「よい議論とは」
Ⅲ 長文・780語
「ビジネスの成功と倫理」
Ⅳ 文法語法
V 短文空所補充
Ⅵ 短文読解(4問)
Ⅶ 短文空所補充(名詞形)
Ⅷ 短文空所補充(活用变化)

★1 問題の特徴

・マーク式が中心で,単語レベルの記述式問題が最後に2題課される。
・長文は人文・社会科学系の内容のもので,特に社会問題をテーマとした英文が多い。一題一題の長さは年度によってまちまちで,2020年は約2410語と長めだったが,おおむね「合計2200語前後」ととらえればよい。
・長文以外の特徴は次の通り。
(1)文法語法はかつては正誤問題も出題されたが,現在では空所補充形式に落ち着いている。
(2)短文空所補充は各空所に単語を1語入れるという形式で,平易なものである。
(3)記述式の語彙問題(Ⅵ・Ⅶ)だが,1題は動詞の活用を問うもの,もう1題は与えられた語の名詞形を書くもの。
・短文読解(2020年のⅥ)が2016年以来4年ぶりに復活した。
・例年はいわゆる「難問」と呼べるものが皆無で,おそらく慶應の全文系学部中もっとも解きやすい問題である。ただ,2019年は解きにくい問題が多く,やや難化した(平均点を見れば明らか)。

★2 学習ポイント

・合格者最低点だが,A方式(英・地歴・数)は毎年大体60%台を推移しているが,B方式(英・地歴・論文)は70%台とかなり高い。これは実質倍率(受験者数÷最終合格者数)が前者は約3倍なのに対し,後者は7~9倍であるのが主な原因(受験生を絞り込めば絞り込むほど敷居は高くなる)。また,B方式では論文テストの平均点が乱高下しやすく,2017年や2020年のように異常に高い(100点満点で70点超)ときは合格者最低点が8割近くになる場合もあることにも注目しておこう。
・英語は先述したように慶應義塾大一やさしいものなので,最低でも75%の得点(つまり150点)を目指したいところだ。
・長文以外の形式の問題が多いため,長文ばかりに気を取られていると時間がなくなる。長文をじっくり解きたいのなら,先に長文以外の問題(問題Ⅳ以降)をかたづけてしまうのも1つの手法かもしれないが,30分以内で終わらせる必要がある。
・記述式の部分はすべて単語レベルのものだが,スペリングミスやたとえば三単現のsのヌケ1つがあっても0点になる。そのような基本的な部分に細心の注意を払おう。
・法学部同様,英語が試験全体の半分のシェアを占めることも考慮に入れておくべき。